Quietworksの改め文工房

このブログは結果無価値論者の改め文遊びを淡々と晒すものです。過度な期待はしないで下さい。

児童ポルノ法改悪 - 最大多数派は“推進派”ではなく“事情を知らない賛成派”であるということ

pr3さん、slpolientさんからトラックバックをいただきました*1
ありがとうございます。
前回の記事*2について、いくつか補足させていただきます。

推進派と賛成派を分けて考える

前回の記事では、規制《推進》派と規制《賛成》派を分けて記述しています。

ここでいう規制《推進》派とは、何らかの明確な目的があり、欠陥や弊害を無視してでも敢えて“準児童ポルノ”及び“単純所持”の規制を推し進めなければならない運動家のことです。
これに対し規制《賛成》派とは、特に明確な目的はなく、規制《推進》派が掲げる“児童の権利の保護”という題目に感覚的に賛成している一般人のことです。

この問題における多数派は、規制《推進》派ではなく、潜在的なものを含めれば世論の8割近くを占めるであろう、規制《賛成》派です。
この傾向は国会議員であっても大きな違いはないと思われます。

賛成派は潜在的な慎重派でもある

規制《賛成》派は、同時に潜在的な規制《慎重》派であると捉えることができます。
この点において、規制《推進》派とは大きく異なります。

規制《賛成》派は、“準児童ポルノ”及び“単純所持”の規制が“児童の権利の保護”に繋がらず、規制に反対することが“児童の権利を蔑(ないがし)ろにする”ことにはならないということを、恐らく知りません。
規制《賛成》派は、規制《反対》派が規制による弊害から“表現の自由”を守るために戦っていることは知っていても、その戦いが“児童の権利の保護”と対立するものではないということを、恐らく知りません。
規制《賛成》派は、規制《反対》派が“児童の権利の保護”に反対しているのではなく“児童の権利の保護には繋がらない規制”に反対しているということも、恐らく知りません。

規制《賛成》派の殆どは“事情を知らない一般人”です。
これを“事情を知る一般人”に変えることができれば、規制《反対》派にまではならなくても規制《慎重》派にはなる筈です。
そして“事情を知らない一般人”を“事情を知る一般人”に変えることは、国会議員程度の人数であるならば、決して時間のかかることではない筈です。

主張は相手を選ぶ

国籍法改正の事例からわかるように、紙として顕在化するFAXが電話やメールよりも効果的なのは間違いないようですが、問題は主張の内容です。
主張は相手を選びます。

「日本が乗っ取られる!!」といった主張は、普段から外国人による侵略に不安を抱いている層には一定の訴求力があります。
国籍法や人権擁護法と異なり児童ポルノ法が外国人による侵略と感覚的に結び付くのかという疑問を考慮しても、ある程度の訴求力はあるでしょう。

しかし、大多数を占めるであろう規制《賛成》派のように“児童の権利の保護”という題目に感覚的に賛成している層からは、「日本が乗っ取られる!!」といった主張は聞き入れられるどころか、逆に不信感を招くことでしょう。
規制《反対》派が“児童の権利の保護に反対している”だけではなく“人種差別や民族差別も推進している”といった誤解が広まれば、規制《賛成》派は規制《推進》派へと先鋭化し、規制《慎重》派として取り込むことは不可能になるでしょう。

国籍法改正に反対する意見の中には、「日本が乗っ取られる!!」といった主張だけではなく、人身売買の温床になって児童の搾取に繋がるのではないかといった危惧*3もあったはずです。
必ずしも民族主義的ではない議員にまで慎重論が広まったとすれば、寧ろ“児童の搾取に繋がるのではないかといった危惧”が伝わったことが大きいのではないでしょうか。

繰り返しますが、主張は相手を選びます。
相手の感覚に合わない主張は、いくら大声で繰り返し叫んでも聞き入れられません。

更新履歴

  • 前の版: なし
  • 2008-12-03 01:46
  • 2008-12-03 18:18 児童ポルノ法改悪 - 最大多数派は“推進派”ではなく“事情を知らない賛成派”であるということ