Quietworksの改め文工房

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製造過程の違法性は単純所持の規制を正当化し得るか? - 違法状態維持説と事後従犯説の観点から / 暫定版

冤罪論に依存した反対運動は既に限界に達している。単純所持自体が描写された児童に対する人権侵害として過大に評価されている限り、幾ら「冤罪の危険性」を強調しても効果はない。*1

しかし、
冤罪とかそういう次元の問題ではない。製造過程の違法性を理由に所持を規制するなら、あらゆる製品の所持が規制され得る。報酬供与罪を通り越して単純所持罪を導入する理由がない。*2

単純所持罪や取得罪を製造犯(虐待犯)に対する事後の幇助として説明しようとすると、報酬の供与を伴わない現物の取得が処罰されて現物の取得を伴わない報酬の供与が処罰されないことを、どうしても説明することができない。*3
仮に単純所持を製造犯に対する報酬の供与として処罰するとしても、それは描写された児童ではなく将来的に描写されるかもしれない不特定の児童を守るため。故に個人的法益に非ず。*4

常習犯に対する事後の幇助を処罰することについては、その更に後の犯罪行為を抑止する観点から議論があってもよい。ただし、児童ポルノに限定する理由はなく、刑法総則や組織犯罪処罰法の課題として議論されるべきである。*5

現行法の実効性に問題があるとするなら、その原因は寧ろ「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という定義にある。先ずは「描写された児童の性的羞恥心を害するもの」に定義を改めよ。*6

更新履歴

  • 前の版: 脚注参照
  • 2010-10-18 23:30 製造過程の違法性は単純所持の規制を正当化し得るか? - 違法状態維持説と事後従犯説の観点から / 暫定版